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兄・金正男氏の排除を目論む正恩氏、動機は地位を脅かされる脅威か

 事情に詳しい者がみれば、金正恩氏に代わる人物は金正男氏しかないとわかるでしょう。正男氏は正恩氏の兄、温厚でインターナショナルな感性を持ち、もし北朝鮮人民がその存在を知ったら、拍手をもって迎える存在に違いない。
 だが朝鮮人民には、金正男氏の存在自体を知らされていないようです。恐怖政治を布いて目障りな人物を粛清してきた正恩氏は、自分の地位を脅かす可能性がある存在には、きわめて敏感だった。

 3代目北朝鮮最高指導者を承継(2010年)した正恩氏は、さっそくその翌年には金正男氏の活動を制限するための「細工」を始めていた。
 毎日新聞だったと思いますが、こんな内容が掲載されていました。正恩氏は今から5年ほど前、側近の諜報機関に命じて金正男氏の金脈、人脈を徹底的に洗い出して停止する工作を始めた。目的を達成し、それまでの人脈の中で正男氏に連絡する人もいなくなったという。

 正男氏は不動産、情報産業(IT)などでマレーシア、マカオなど何ヵ国かで事業を展開していたが、これらの妨害などによるのか最近は財政的にも苦しかったと思われる。
 また父の金正日総書記が存命中には、正男氏は現地の北朝鮮大使館から資金援助を受けていたが、死去の後は援助がストップしたという。正恩氏の意向なしではこういうことはあり得ない。

 今回殺害を実行された場所も、クアラルンプールからマカオ行きLCC(格安航空会社)の自動チェックイン機の前だった。もしLCCを利用していなければ、今回のような事件は起こしにくかったのではないかと思われる。
 通常、搭乗時刻の前になると搭乗ゲートのアナウンスメントがあり、まずファーストクラス、ビジネスクラスの搭乗者と、妊婦、病人などが先に案内される。正男氏がビジネスクラスなどを利用していたら、こんな事件は起こり得なかったと思われるのです。混雑する搭乗ゲートの前の待合室で、しかも空港職員に案内されている時を狙う犯罪は至難だと思えるからです。

 ところで金正恩氏の杞憂(取越し苦労)の一方、兄の金正男氏は政治には全く興味がなかったらしい。北朝鮮の後継者選びも、「父(金正日)が決めることが最優先される」と、それ以上の話に入り込もうともしなかった。
 金正男氏について、韓国メディアは「悲運の王子」などと報じている。1010年ごろ、北京市内のホテルで短時間のインタビューをした中国人記者は、「洗練されたマナーから『王子』としての風格を感じた」と振り返った(毎日新聞2.17 朝刊)。

 韓国紙によると09年4月、正男氏が平壌滞在時の別荘が国家安全保衛部(北朝鮮の秘密警察)に急襲された。正男氏は「若いやつ(正恩氏)に殺されそうになった」と語っていたという。
 また最近、正男氏から正恩氏に対し「私は今の生活に満足している。今後、私と家族が安全に暮らせるように図ってほしい」(趣意)と、懇願ともいえるような連絡をしていたという。

 だが兄弟さえ信じることができなかった金正恩は、自ら生きる幅の選択肢を狭めた。さすがの中国も、北朝鮮という泥舟を曳航しながら航海を続けることを断念するときがくるのではないか。そのとき、幼稚な「原爆至上主義」に固執する金正恩氏の末路はどうなるか。けだし見ものではあります。