北方領土問題さらに後退か、2島返還のあとも「主権はロシア」だと?

 まことに残念ながら15・16両日のプーチン大統領訪日は、日本にとって得るところはなかったと私は思う。安倍晋三首相も訪日の話が具体的になり始めた頃こそ、明るい表情で北方領土返還に向けた強い決意を述べていた。
 ところが日が迫るにつれてある時から表情が暗くなり、明らかに内容がトーンダウンしてきた。直前になると、今度はプーチン氏が「ロシアには領土問題は全くない。あると思っているのは日本だけだ」という、とどめを刺すような発言があった。

 当初の首相の決意が私の心に残っていただけに、あるいは「2島先行返還」で話が進むのか、とも考えていた。しかしその内容は、共同経済活動を開始して平和条約につなげるというものだった。
 医療やエネルギーなど8項目(政府間で12件、民間で68件)で、民間の合意案件の投融資額だけで総額3000億円という。これまでも領土問題を「ダシ」にされて、技術供与や経済協力をどれほどしてきたか。ところが全く進展がなかった。やらずぼったくりだったわけです。おんなじ手口にまたまたハマったのだろうか。

 安倍首相の張り切りぶりから見ても、プーチン氏は当初オイシイ話を装って持ち掛けてきたのでしょう。話が違うと思っても、地元(長門市)に接待するなどの話が先行してしまい、後戻りがきかなくなったのではないか。
 首相はこれを「平和条約に向けた重要な一歩」と位置付けてはいる。しかし国民に「失敗だった」と言えず、毒にも薬にもならない言い回しで濁しているのではないのか。

 北方領土での共同経済活動は、日本の法律に則って進めることが可能なのか。ロシアの法の下で進めるとなると、「北方領土はロシア領である」と認めたことになる。領土問題の解決に向けたプロセスに、新たなハードルが出現したということです。
 今後は共同経済活動に取り組むための、「特別な制度」について交渉を開始する模様ですが、この制度は北方4島が日本固有の領土、という日本の基本的立場を犯してはならない。これはゆるがせにできない問題です。


 ロシア(当時、ソ連)が強奪した北方4島の返還交渉を、日本は終戦後から引き続いて行ってきた。1956年(昭和31年)には鳩山一郎首相が訪ソし、ソ連のブルガーニン首相との間で日ソ共同宣言に署名。日ソの戦争状態終了の後、平和条約を締結し歯舞、色丹を引き渡すと明記した。両国議会の批准を経て、同年12月には両国は国交を回復した。
 2000年、大統領に就任した直後のプーチン氏は、訪露した森喜朗首相に、平和条約締結後に歯舞、色丹を日本に引き渡すとした、日ソ共同宣言の有効性を公式に認めていたのです。

 ところがここにきて、プーチン氏の発言がさらに変わっている。日ソ共同宣言に平和条約のあと2島返還を決めてありそれは認めるが、返還を認めても主権が日本に移るとは取り決めていないと、とんでもないことを言い始めたのです。
 領土を返還するということは主権も移すということだ。主権をロシアに置くなら、それは領土返還ではない。領土の無償貸与に過ぎないではないか。しかも貸与に金はとらないが、政府間、民間の投融資で、莫大な金額を手に入れようと目論んでいるということになる。

 私は思います。ロシアにあんまり阿漕なやり方をさせてはいけない。2島を返還しても主権はロシアにある、などという詭弁は断固として排除してもらいたい。「そんな理屈では、日本国民を納得させることはできない」とはっきり伝えるべきでしょう。
 これまで中国はロシアと共闘して、領土問題(尖閣、北方4島)で日本に対峙する状況を創り出していた。今、中国は日露平和条約の行方を、息をひそめて見つめているでしょう。一方、ロシアは平和条約が具体的になってくると、日米同盟を問題視する発言を始めるのではないか。しかし日米同盟なくして日本の安寧はあり得ない。事は複雑に絡み合っているのです。

 しかもソ連とロシア、呼称は違っても同じ民族。同じ歴史の延長上にある。かつて日ソ中立条約を一方的に破棄して日本領に攻め入り領土を掠奪し、数十万人の日本人をシベリアに抑留して多数を死に追いやった。条約締結中の水面下でアメリカ、イギリスと対日参戦の策を練り、大戦勝利後に日本領の掠奪を目論んだのです。
 日露平和条約締結も、果たして全面的に信用してよいものか。こんなことを考えるときりがないが、くれぐれも「利用されただけ」に終わらないようにご用心願います。

【ご連絡】 年末で何かとせわしい日々が続きます。今月の
ブログはこれを最後にいたします。よいお年をお迎えくださ
い。来年もよろしくお願いします。
プロフィール

村 岡 長 治

Author:村 岡 長 治
出自:兵庫県姫路市
現在:埼玉県富士見市
仕事:特定社会保険労務士、行政書士

筑波大学付属駒場高等学校卒業後、早稲田大学理工学部に学ぶが、家業を継ぐため学業途上で帰郷。
現在、川越・ふじみ野・富士見方面で、社会保険労務士・行政書士業をやっています。

「村岡労務行政事務所」のホームページもご覧ください。

両士業の支部内で、勉強会などを持てるといいと思っています。信頼できる同志との連携を深めたい。

お客様とは互いに信頼でき、長続きする関係を築いて行きたい。

趣味は酒、旅行、絵画・音楽・書の鑑賞など。子供たちも独立して、いまは夫婦2人です。

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