1年を回顧して? そんな大げさではなく仕事についてひとこと 

 私は社会保険労務士と行政書士をやっていますが、最近、仕事に関してブログを書いたことがほとんどないことに気が付きました。今年1年、全く触れていないし、その前もいつ書いたか覚えていません。
 5年前に女房が脳出血で倒れて以来、仕事を極力セーブしてきたこともあるでしょう。ほとんどが事業主へのアドバイスと手続き業務、いつも代わり映えがしないことが原因かもしれない。しかし年の最後にあたり、仕事のこともひとこと書いてみたいと考えました。

 行政書士は官公署に提出する一般書類および権利義務・事実証明に関する書類の作成、提出手続きの代理・代行、また相談などに応じます。その業務が、例えば弁護士、司法書士、税理士、社労士そのほか、業務独占資格が認められている士業が行うもの以外は行政書士ができるはずですから、「守備範囲」はものすごく広いのです。
 仕事の種類は3千とも1万ともいわれますが、正確なことは誰もわからないらしい。車庫証明や内容証明の作成、役所に提出する簡単な書類から入管業務(外国人入国・在留手続)や農地転用許可申請、宗教法人や学校法人の設立まで行うといえば、その広さがお分かりでしょうか。

 私は建設業許可申請(事業年度終了報告、更新を含む)や遺言・相続についても行っていますが、主たる仕事は社会保険労務士業務です。
 社労士としての私の仕事は、中小企業事業主の相談・指導(コンサルタント業務)、官公署への書類作成と提出が多い。官公署は日本年金機構(年金事務所)、公共職業安定所、労働基準監督署、それ以外にもいろいろあります。書類は決められたとき、また必要な時々に提出するものなどさまざまです。各種助成金の申請も行います。社労士業務も幅が広いので、専門分野を決めている人もいます。

 私は旅行が好きで、外国へ行くことも結構ありました。そんなとき、一番気になるのが、もし留守の間に顧問会社で労災事故があったらどうするか、ということです。労災病院への転院などは後でできないことはありませんが、いざというとき相談する社労士がいない心細さを味わわせてはいけないと思っています。事故は運転手や工事に携わる者だけではありません。事務職でも銀行に行く途中で事故にあうこともある。通勤時の事故も労災の分野です。これは社労士業務をやる者の責務です。
 そこで前もって懇意の社労士に頼み、顧問先にも私が不在のあいだ責任をもって処理してくれる社労士の名前と電話番号を伝えて出かけていました。決して年金事務所や安定所へ書類を提出するだけが社労士の仕事ではありません。

 なんだか七面倒臭いことを書き連ねてしまいました。今年少しは記憶に残っている仕事と言えば次の3件ぐらいでしょうか。

 今年6月18日、東京都某区役所職員から私の妻の父親が死亡したことを知らせてきました。幼いときに父母が離婚し、妻は母に引き取られて育ちました。義父は再婚して幸せな家庭を持ったようですが、後添いに先立たれてしまった。住んでいた区営住宅が建て替えになるのを機に、ケアハウスに入居しました。その区職員は、前後のいきさつから簡単な葬儀も済ませてくれたという。90歳でした、荷物の中に我が家の電話番号があったらしい。

 あるはずの何百万円かの現金も手許にはなかった。後添いの子供から、「墓を建ててやるからと言われて貸した」と、妻が本人から聞いたことがあるが、そちらへ使われているなら大いに結構だと思います。養子縁組をしない限り彼らに相続権はない。しかも相続人の妻や妹は何にもしてこなかったのだから。「妻と妹に相続放棄をさせたほうがいいのでは?」と思ったのですが、職員は「そこまでしなくても」という意向のようでした。ところがしばらくして、「ケアハウスで未払い金があると言っている」との連絡を受け、後々を考え相続放棄の手続きをすることになりました。これは行政書士の仕事です。ただし無料の…。

 相続放棄の申述人は妻とその妹です。T県在住の妹に、申述書に記入して戸籍謄本とともに急ぎ郵送するように伝えました。用紙は家庭裁判所に行けばもらえるし、書き方がわからなければ教えてくれるから、と。
妻と妹が父の死亡を知って3ヵ月以内に相続放棄をしなければ、父の遺産はプラスもマイナスも相続することになります。8月8日に義妹からの書類が届きました。9月17日までに手続きをしなければ単純相続となります。もし書類の不備があり、送り直させたりして間に合わなければ困る。

 8月10日、妻を連れて義父の本籍があった役所に行き除籍謄本を、そのあと住民登録をしていた市役所で住民票を取得。家庭裁判所へ行って2人の相続放棄申述書を提出しました。
ここで注意しなければいけないのは、本人の委任状をもらっておけば、たいていのことは代理できるのですが、裁判所ではダメ。代理人になれるのは弁護士だけです。後日、「相続放棄申述受理通知書」が送られてきて1件落着。

 また11月9日に、私が業務を受託している会社のうち3社に、日本年金機構の総合調査が入ると連絡がありました。事業主には年金事務所に持参する帳簿や書類と時刻が指定され、「委託社労士がいる場合は代理でも可」と通知がありました。2社からは直ちに「先生、お願いします」と依頼がきました。「立ち合い」ではない、代理で解決してきてほしいというのです。年金機構から私へきた連絡には3社名と30分おきの時刻が指定されていました。

 年金機構が何を調査したいのか、また徴収の時効が2年ということなどは承知しています。1社は労働者名簿、出勤簿、賃金台帳をきっちり管理しているので電話をして先方にお任せ。2社については私が代理をすることになりました。
 社員がいるのに出勤簿をつけていない会社、給料が上がったのに月額変更届を出していない会社(というか、私に連絡がなかったのです)。月額変更届はさかのぼって訂正、算定基礎届も訂正です。作成していないが、どうしても必要な書類は急きょ作らなければならない。当日の調査も、1社で30分なんてとんでもない。急いだのですが結局2社で2時間かかった。担当官の方、ご苦労様でした。
 今回は何とか済みましたが、監督署の調査が入ったら大変ですよ。ことに1社の大きい問題点も分かりました。

 そのあと暮れも近づいた12月12日、浦和のさいたま共済会館で約4時間、社労士倫理研修がありました。私が社労士になったころはなかったのですが、10年ほど前から始まった制度で、5年に1回参加が義務付けられています。私は2回目でした。都道府県倫理規定も変わることがあるし、新旧社労士に社労士倫理を徹底しなければいけないということでしょうか。これも業務のうちだと納得しています。

 今年も仕事上は、取り立てて面白い話はありませんでした。つまらない話で申し訳ありませんでした。いよいよ本年も残すところわずかです。皆さま、よいお年をお迎えください。来年もどうぞよろしくお願いします。

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家事審判事件受付カードと相続放棄
申述受理通知書

政府が介入すべきことか、「年功序列賃金見直し」に疑問

各新聞報道によると来年の春季労使交渉では、年齢とともに賃金が上がる「年功序列賃金」の見直しが焦点の一つになりそうだという。デフレ脱却に向けて賃上げを重視する安倍政権が、日本型の賃金・労働慣行を見直して若い世代の賃金を手厚くすべきだと問題提起したためらしい。

年齢や継続勤務年数で給料が上がっていく年功序列の賃金制度は、終身雇用と共に日本独自の制度です。年功制度は法律で否定されていることではない。労働生産性に見合った給与に替えるとなると、どうしても長年勤めた社員の給与が圧迫されることになる。あるいは早期退職を望まざるを得なくなってくる。

安倍晋三首相は経済界、労働界の代表と賃上げなどを協議する政労使会議の今年2回目の会合を首相官邸で開いた。同会議では、年功序列の要素をなくした賃金制度導入の日立製作所、ポストに応じて給与を決めるパナソニック、成果型の賃金体系を導入したホンダの3社が自社の取り組みを紹介しらしい。

しかし日本の中小企業の割合は、少し古い資料ですが421万企業のうち99.7%。うち、小規模企業の割合は87%を占めるという。(日本標準産業分類)
働いている従業者の割合を考えてみます。4013万人のうち中小企業が69%、小規模事業の従業者は23%です。日本の経済はこの人たちに支えられているといっても過言ではないでしょう。

どうですか、ほぼ7割が中小企業・小規模企業の従事者です。大企業と中小企業は社員に回る賃金も大きな差があるのです。大企業の責任者の話を聞いてどれだけ参考になるか。中小企業の経営者は厳しい経済状態の中で、家族を含めた従業員の心配をしなければならない。
退職時には、退職金も支給される。退職金の支給は法律で決まっていることではないが、退職金規程がある場合はそれに従わなければならない。だから中小企業であっても、従業員は安心して勤めることができるのだ。日本の終身雇用制度の「良さ」をはなから否定するべきではないでしょう。

押し並べて、労働問題は何でも欧米を見習おうとしているように思えてなりません。押さえるところはしっかり押さえなければいけないでしょう。しかし何でもかんでも欧米と同じというわけにはいくまい。
賃金形態だけではない。給与の額も会社によって違ってくるのはやむを得ないところがあるでしょう。

例えば建設業を例にとってみましょう。大手ゼネコンが発注者から大規模工事を請け負う、これが元請けです。この工事は分割されて何社もの1次下請けに発注される。1次下請けはさらに仕事を分割して2次下請けへ。そのあと3次、状況によってはさらに下へと行くのです。
しかしその間、元請けから数次の下請けに行くまで、金額からそれぞれ自社の利益を確保して下請けに出している。ですから下へ行くほど請負金額は低下する。大手に伍す賃金を払っていては会社が成り立つはずはない。そもそも払う金が入らないのだ。

政府の責任者はどこまで実態を知っているのか。なにより賃金体系にまで政府が口を出すべきか、私は疑問に思います。個々の雇用現場、雇用形態、会社の規模などをよく尊重すべきでしょう。政府の勇み足が「角を矯めて牛を殺す」結果にならないように願うばかりです。

労働保険の年度更新手続について

労働保険の平成23年度確定保険料と平成24年度概算保険料および石綿健康被害救済法の一般拠出金の申告・納付手続を行う時期となりました。
申告書・納付書は、5月末に発送されますので、書類作成のうえ保険料及び一般拠出金を添えて、7月10日までに金融機関窓口へ提出してください。

不明の点は社会保険労務士、埼玉労働局労働保険徴収課、または最寄りの労働基準監督署にお尋ねください。
受付期間2012年6月1日~7月10日です。

「健康保険被保険者資格証明書」を活用しましょう

めずらしく? 社労士関係のことを書きます。顧問先の手続きをしていて気になりました。会社の総務担当の方はご存知だと思いますが、念のためひとこと。
新しい会社に入社した人の手許に、健康保険被保険者証のカードが届くまで多少の時間がかかります。健康な成年ならそのまま待ってもいいかもわかりませんが、本人あるいは家族が病院にかかりがちの方、幼児をかかえた方などは1日も早く被保険者証がほしいでしょう。

そんなとき会社の総務担当者は、「健康保険被保険者資格証明書交付申請書」を、所轄の年金事務所に提出してあげてください。被保険者欄(被扶養者がいる方はその欄も)と事業所住所、名称、事業主氏名を記入し、代表印を押して出来上がりです。事業主が記入するところは分かるようになっています。

その用紙の下3分の1ほどが「健康保険被保険者資格証明書」です。年金事務所の窓口で、その場で被保険者証記号番号をきめて記入してくれます。病院にかかるときは、この用紙を健康保険の被保険者証の代わりに使用することができます。

例えば新しい会社に勤めたあと、以前の健康保険被保険者証を使用しますと、前の資格は就職日にさかのぼって取り消されますので、医療費の全額を後日、支払わなければならなくなります。ご注意ください。

社会保険労務士がいる会社は問題ないでしょうが、社労士がいなくて担当の方が自分でやる場合は、申請用紙を年金事務所までもらいに行くことはありません。インターネットで引き出してプリントしたらいいのです。
有効期間は20日ですが、その間に被保険者証が届くでしょう。届いたら、この資格証明書は破棄するのではなく、年金事務所に返送してください。


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これでいいのか、年金問題はますます複雑に!!

埼玉の社労士です。
年金の「運用3号」制度については、つい先日、このブログでも書きました。これは国民年金の第3号被保険者が扶養からはずれたときの、「切り替え漏れをした人を救済」するのが目的です。今年の1月からスタートしましたが、その後、凍結・見直しということになっています。

私は論語の一節をひいて、
「『寡(すく)なきを患(うれ)えずして均(ひと)しからざるを患う』ですよ。この言葉を、こんな愚劣な制度を考えだした人はよくよくかみしめてもらいたい」
と述べました。今日まで生きてきた経験上、「不公平感」こそが不満の多くの部分を占めているのを私は感じてきたからです。

ところで昨日、たまたま「水の惑星(Planet Water)」と題したサイトに巡り合い、尾田栄章・「渋谷川ルネッサンス」代表の文章に心ひかれましたので、その一部分をご紹介させていただきます。

水供給施設の整備こそが水問題解決の万能薬のように語られていた時代であった。(略)
これに対してストックホルム国際水週間で聞いた講演はまったく違っていた。アフリカの水問題は「限られた水が不公平に分配されることによって引き起こされている」という。強者が水を潤沢に無制限に使っている一方で、弱者は生命の水すら手にできない。この不公平さが問題だという。

「決して水不足が問題なのではない。水をめぐる不公平さこそが諸悪の根源である」と断言された。アフリカの水事情を考えれば、不足する水をさらに小さく公平に分割したのでは、多数の餓死者を出しかねない。そんな悲惨な光景すら頭をよぎる。しかし演者の穏やかな物言いは変わらない。例え水がなくて命を落とそうとも公平が保たれているなら、人は幸せに死ねるのだとの透徹した覚悟が身体全体からあふれ出ていた。極度の貧困に対して闘い続けた人だけが口にできる、厳しくはあるものの他者への深い思いやりの心が感じ取れた。


論語をひくまでもない、「不公平」を嫌う、というのは世界共通のものですね。人間社会の本質は変わらないということです。

まだ運用3号の行き着く先は決まっていないはずですよね。国民年金法改正案を、4月に国会に提出して決めるのでしょう。その内容は、
(1)過去2年間の保険料納付を義務付ける。
(2)それ以前の期間は、年金を受け取るための必要期間(最低25年)に組み入れるが、その間は未納期間に応じて年金を減額する(いわゆるカラ期間)。
(3)加えて、2年以上前から切り替え漏れ時点までの保険料の納付を認めるか?

おそらくこのような内容でしょう。しかし不公平感は免れません。
凍結された運用3号同様、いま考えている救済策の対象者を1月以降に届けた者と限定すれば、昨年までに届けた人は救われないことになります。

しかもこれが認められるとなると、3号がらみ以外の人、単に保険料納付期間が25年に対して1年足りない、5年足りないという1号被保険者たちは救済しないのでしょうか。
こんな依怙贔屓(えこひいき)が許されるのか。保険料の振り込みは認めるのか。カラ期間はどうか。

ところがそれをやると、今度は財源が途方もなく不足する。まさに進退に窮するわけです。優秀な方たち、どうか無い知恵を絞って良策を生み出して下さい。


どうなるかわかりませんが、国民年金保険料を全額国庫負担する、という考えがありますよね。民主党は盛んに主張していました。これは無年金、低額年金の人をなくするために考えた案です。もしこれを実行するとなれば、渦巻く「不公平感」はこんなものではないでしょう。

たとえば今まで保険料を欠かさず納付してきた人が年金を受け取る、納付していなかった人も受け取る、ということになるでしょう。しかし同じ額を受け取るとなると、払ってきた人は不満でしょう。この不公平はどうやって解消するのでしょう。国民年金はフルペンションでも低額です。納付しなかった人はその期間に応じて減額するとなると、まったく納付しなかった人は受給金額がありません、もらえないということです。これでは無年金・低額年金に人をなくする、という趣旨に反することになります。

また全額国庫負担にすると、財源を確保するために消費税を上げなければならない。ところが年金保険料を払い終わって受給している人たちにとっては、これは保険料の実質的な二重払いになるのではないか。納得ができますかね。

いったいどう解決するのでしょう。いま年金保険料を払っている人も受給している人も、死に絶えてからでないと公平な制度は作れないのではないか、と思ったりします。しかしその間の年金制度はどうするの? つい先だって「百年安心年金」とかいって、大幅に年金制度を改革したでしょう。朝令暮改を繰り返していたら、ますます年金離れに拍車をかけますよ。政府はいったいどうするつもりでしょうか。

たまには社労士らしい? 意見だと思いますが…。ブログをお読みいただき感謝します。


プロフィール

村 岡 長 治

Author:村 岡 長 治
出自:兵庫県姫路市
現在:埼玉県富士見市
仕事:特定社会保険労務士、行政書士

筑波大学付属駒場高等学校卒業後、早稲田大学理工学部に学ぶが、家業を継ぐため学業途上で帰郷。
現在、川越・ふじみ野・富士見方面で、社会保険労務士・行政書士業をやっています。

「村岡労務行政事務所」のホームページもご覧ください。

両士業の支部内で、勉強会などを持てるといいと思っています。信頼できる同志との連携を深めたい。

お客様とは互いに信頼でき、長続きする関係を築いて行きたい。

趣味は酒、旅行、絵画・音楽・書の鑑賞など。子供たちも独立して、いまは夫婦2人です。

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